LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして

「はい、これ。」


「え?」

家帰った瞬間に小さい包みを手渡されて

私は戸惑う。


「これは?」


「開けてみてよ!」

ニッと太陽のような笑顔で。

ドキンとして視線を合わせないように、

包みを見つめて

沈黙する。


「開ける前に聞きたいんだけど、

 これは特別に意味がある?」


「どんなことにも意味がある。

 …柊の口癖じゃなかった?」


「うっ…だから重要な…」


「全く、柊は用心深いんだから!」


ひったくられた小包は、

目の前で、バリバリと開けられ、

出てきたのは…


シルバーのペアリング

オニキスがラインのように配された大人っぽいユニセックスなデザイン。


「悪い虫がつかないように、

 給料叩いて買ったんだから貰ってもらわないと困る。」

「あ、ああ」


「プロポーズでもすると思ったの?」


「ちょっと思った。」

さっきまでこわばっていた体がほぐれた、


「なんかいいかなって思って、ペアリング。

 もう会社ではバレてるけど、 柊は、外で人に会うこと多いから、

 着けてててもらわないと心配」


「馬鹿ね、私なんて誰にも声かけられたりしないから」

「柊は何もわかってないな、

 こんなものでも、好きな人を縛り付けたいんだよ。

 こんなものでも、安心が欲しいって思うものなの。

 嫌なの?」


「嫌じゃないけど…」


「じゃあいいよね!ほら指出して!」



 右手を差し出すと、

 左手を取られてギュッとはめ込まれた指輪。


「いつかこれをエンゲージリングにする

 だから、やっぱりこの指を予約させて。」


「でも…」


「お願い。」

指を絡ませながら私を見つめる。


ヤメれ!その上目遣い。


私がその目と指に弱いの知ってて、確信犯め。














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