LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
「ぷっ、忠犬ハチ公なの?

 偉い偉いっ!」

私が笑いながら言うと、

彗は怒った顔して、私の腕を引っ張った。

「笑い事じゃないです。

 凄く心配したんです。

 柊、親父と会ったんでしょ?」

「あっ、うん。」

はあっ

と大きく息をつくと、

「まさかこう来るとはなぁ、

 まあ、あの人の事だからタダじゃすまないとは思ってたけどさ。」

「ごめん、彗に黙って会っちゃって、

 彗出張中だったし、急だったから、
知らせそこなっちゃって、

 もしかして怒ってる?

 勝手なことしたって怒ってるよね?」

彗がすっと出した指が

私の顔に伸びた瞬間、

たたかれるっ

とギュッと目を閉じた。

するとその指はにそっと顔を撫で唇に触れて来た。

「馬鹿ですねあなたは、怒るわけないでしょう?

 ただ心配してただけですよ。

 あの男があなたを傷つけやしなかったかと、そればかりが心配で、

 いてもたってもいられなくて、仮病使って帰ってきちゃいました。

 あ~あ、こんなんじゃ僕は出世できそうにないです」

「彗。」

ああ、愛おしい。

私は思わず彗を抱きしめた。





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