LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
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外の景色を見ながら、人気の少ない電車に揺られていた。

明日人事部に笠島さんの事を話しておこう。

新店舗の店長にという話が出ているくらいだから、

希望も通るに違いない。


それにしても、

あそこでアルバイトしていた子が彗だったなんて、

何となく覚えている。

ああ、男の子が入ったんだなって事と、

一言ぐらい言葉を交わした気がする。

バイトの子なんてしょっちゅう変わるし、

シフトとかでいつでも会うわけじゃないからからあまり印象に残らないけど、

あの時のことは印象に残っている。

何となく違和感感じたからだ、

そう、そうよ、何処かで会ったことがあったかななんて?


暫く頭に残ってたんだ。

あの時の子が彗なら、

私はもっと前に彗に会ってたって事?

何処で?


う~ん、頭をひねりながら考えたけど、

たぶんんその時もそうだったろう、

今度も結局思い出すことはできなかった。


駅の改札を抜けると、

人影もまばらで、

私が最後の乗客のようだった。


人影がまるで誰かを待つように壁に寄り掛かっていた。

まさかね。

一瞬彗かと思ったけど、出張で今日は帰らないはずだ、

足早にその人の横を通り過ぎようとして腕を掴まれた。

「キャッ何するのよっ」

バックを思いっきり振り上げた時、

「わあ、僕だよ僕っ!」

けど間に合わず、思いっきり顔面に命中した。

「あ、彗っ!なんでここにいるの!」

「なんでって、待ってたんでしょ。

 柊電話でないし、会社電話したら店舗回って直帰って聞いたから、

 かれこれ一時間も此処で待ってた」

顔をさすりながら、眉を下げる彗、

今朝行ってらっしゃいと言って別れたばかりだから、

いつもと同じなのに

なんだか妙に懐かしいのは気のせいかな。










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