LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
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「お疲れさまでした!」

大きな花束を抱えて、

寿退職する咲は、

幸せそうで、

これからの未来を描いてスタートする人というのは、

こんな風に晴れやかな表情ができるのだと感心した。


「式には呼んでね?

「落ち着いたらメールとか下さいね。」


皆に囲まれ笑顔で答える彼女は、

もともと、きれいな顔立ちをしている子だったけど、

更に艶やかできれいだった。


私のいつかこんな風に送られることがあるのだろうか、



『専業主夫になりますから』

そう言って笑った彗の顔を浮かべながら、苦笑した。


全く持って、

私には縁がないことかもしれないわ。

昨日も、おとといも、

例のアンケートと、

役員会提案用の資料を作っていて、

すっかり家に帰る時間が遅かったせいか、

彗とは会話をしていない。

昨日から会社に来ているはずなのに、

顔を見ていない。

何してるのかしら、

携帯にもメールも着信も残っていないから、

彗からも私にコンタクトをとっていないみたいで、

少し不安になる。

自分だってすっかり頭から抜けていたのだから、

いつもそうだ、仕事に夢中になるとつい彼のことを忘れてしまう。

ほとほと、非恋愛体質な自分にあきれる。


ピコンッ

飛び込んできたメールに、

思わず眉が下がる。

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今日は、咲さんの送別会だよね?

何時ごろ帰れそう?

迎えに行くよ~


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まるで図ったようなタイミング。

どこかで、見ているんじゃない?

そう思えるほどだ。

18時から始まるから一次会は20時には終わるかな?

あわてて返信の言葉を考え始める。














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