LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
初めて聞く話だった。

親父はこの人、俺の母親を愛してたってことか?


「それって?」


「ちょうどあなたが生まれてすぐ

 フランス有名デザイナーのアシスタントの話があって、

 悩むことも、誰かに相談することもなく、

 その話に飛びついたの。

 実家の母にあなたを押しつけて。」

「そうだったんですか」


「レイがそのあと人間不信になって、

 遊び歩いたって話は、

 向こうまで聞こえてきたわ。

 でも、悪いけど、戻るつもりはなかった。

 だって、私、レイのことは好きだったけど、

 愛してたかって聞かれたら、

 そうでもなかったって気がしてたから。

 レイには悪いことしたって思ってる。

 あ、あなたにもね。」

青天の霹靂だった。

歪んでたのは親父じゃなくてこの人の方だった。

俺は、祖母から親父の素行が悪いせいで、

母親が俺を置いて逃げたようなことを聞いていて、

俺を捨てた母親より、

伶斗を憎んでいたのだから。



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