LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
「高木さん。」

「ん」

「ガス止めますか?」

「うん」

「ワイン飲みますか?」

「うん」

「Hしましょうか?」

「うん」


どさっ

おもむろに床に彼女を組み敷いて馬乗りになる。


「ちょ、ちょっと彗君…!」

「Hしましょうか?て、聞きましたよ?」

「私…うんていった?」

「言いました。」

「そっか、じゃあ、しようか。」

悲しそうな彼女の表情に、

自分が、何をやっているのかを思い知らされる。


彼女は、柊の心は、

いま僕のことなんかちょっともなくて、

あいつのことでいっぱいで、

無理やり押し倒して、

僕のことを受け入れさせて

どうしようて言うんだ。


「……」



「ん?どうしたの?」

「しません。」

「ん?」

「しませんよ、できるわけないでしょ

 すみません僕も帰ります、御馳走様でした。」

「彗君。」

「彗です。君付けるのはやめてください。

 こういう時、年下扱いはきついです。

 特に彼氏の前とか、勘弁して欲しかったです。」



「ごめん彗。」

僕は顔を伏せたまま靴を履くと

ドアを開けて飛び出した。


バタンと締まったドアに、


はたと、思いとどまった。

もし僕がこのままこの場を離れたら、

彼女は誰を想って泣くのか。

間違いなく失ってしまったあいつだろう。


ダメだ、それじゃあ、すべてが元の木阿弥じゃないか。

彼女の悲しいとき、欲しいときに隣にいてやらなくてどうするんだよ。



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