LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
その日の最上階は、俺たちだけだったようで、

あの時間フロアに出てくる人間は簡単に見つかった。


柊が通路に出たときちらっと俺の足が出てきてなにか会話をして、

ドアがしまった。

電話が鳴ったあの時だ。

柊はそのままスタスタとエレベーターに向かって歩いていく。


カメラが設置された場所あたりを抜けたところで、

おっどろいた顔をして引き返すと走って元に戻っていく


あれ?


画像がふっと白く抜け、


また何事もなかったようにさっきの位置が映されている。


ちっ

舌打ちが聞こえて、泉を振り返ると、

眉間にしわを寄せて、


「やられたな。」

そう呟いた。


「や、やられたって、」


「死角に誰かいて防犯カメラに細工したんだと思う。

 柊は計画的に誰かに連れ去られたと考えていいな。」

「やっぱり警察に!」

「だから、俺がなんとかする。

 心配するな。

 好きな女だ。

 命懸けで助ける。」

「何言ってるんです。

 柊は僕のものです。あなたに助けてなんてもらわなくても!」


「ここでは、俺の方が顔がきくんだ

 気にするな俺を頼れ!」

その迫力に、思わず頷く僕は、

つくづく情けない。

けれど、確かに、ここで僕ができたことと言ったら単に騒いだだけだったのだから。

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