ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
乾いた砂の上を…音をたてて歩きながら。
グラウンドを…後にする。
自分の左側にそびえ立つ、懐かしき…校舎に沿うようにして……、暫く進んで。
ピタリ、と。
足を止めた。
太陽の光を、片手で遮りながら…
校舎を見上げる。
高い…窓ガラス。
あの、奥には――…私たちが出会った、教室がある。
あそこの窓から、紗羽は……早瀬くんを見下ろして。
早瀬くんは、今の私みたいに……
彼女を、見上げていたのだろう。
「…………まぶしーな…。」
それから。
元きた道の方へと…振り返る。
グラウンドの…端。
テントの下には、紗羽の姿。
そう言えばさっきから。
テントの脚に看板を立て掛けようとしていたけれど。
なかなか…苦戦してたっけ。
「……ふーん、なるほどね…。」
すぐ側には…。
早瀬くん。
紗羽がしゃがんで看板を支えるソレを…、紐でくくりつけて、固定していく…彼。
彼女の笑顔は…、
この、太陽に負けないくらいに…眩しかった。
「おさえドコロ、分かってるよなー…。」
「まあね、でもさ、そんな夫婦のカタチは人それぞれだから…あくまで客観的に見ていた方がいいよ。」
「…………?!」
気がつけば。
いつのまにか、そこに……
恒生さん。
髪の毛が伸びていて、一瞬…誰だかわからなかった。
「…………。………やだ、いるなら言ってよ…。」
「……。『いるよ』?」
恒生さんは、何故か…宙を見上げて。
ほくそ笑んだ。
「………。なにが…見えてるのかな?」
交信中……?
「それはそうと、どうもウチの息子が大層お世話になっているようで…。」
「イヤ、こちらこそー。勇生(ユウショウ)くんの話、娘からよく聞いてるよー。」
恒生さんの息子さんと、私の娘は…同い年の、同クラス。
「奇遇だね。勇生も、よく話題に出してるよ。」
「「……………。」」
「芳賀家は…一代先も安泰だね、お義母さん。勇生もおさえドコロがわかってるなあ。(ニヤリ)」
「…………!ウチは婿養子派なんで。」
どこで、どう繋がるか…分からない縁。
相手を強く想うほど――…
人は、優しくもなれる。
縁も、絆も、そうやって…紡いでいけば。
幸せの定義も…見えてくるのかな。