輝く心は空の星
それから私は、二年生の最後あたりからカナリアに入室し、通い始めた。
最初は電車に慣れなくて、体調が悪く休むこともあったけど、今は毎日通えている。
カナリアという場所は、本当に面白いところでメンバーは私を入れて七人しかいないものの、凄く賑やかだった。
学校より、全然楽しかった。
勉強も、どれも復習ばかりの授業をやってくれて。
先生たちに敬語で話す人は誰一人いないくらい、とても家のような場所だ。
温かくて、毎日心から笑えるくらい幸せだった。
同じ経験をしている者同士、一つの居場所があって、笑いあえることって凄く素敵なことだよね。
カナリアに通い始めてから外に出るのも前よりは怖くなくなったし、家族ともカナリアに通ったことで学校の話題も楽しくなったくらいだった。
お父さんとも、お母さんとも、弟とも上手くいっている。
何年かぶりに感じた幸せだった。
カナリアでは、女子の友達と話したり、見学のときにトランプで勝たせたくれた面白くて明るいカナリアのムードメーカーの工藤 海斗という男子とバカ話したり、毎日が幸せで怖いくらいだった。
あれから玲さんとは話していない。
先輩だったら話しづらいなとか思っていた。
そんなあるとき…
カナリアが終わってみんなが先に帰って私も帰ろうとしたとき、たまたま教室に玲さんがいた。
ちょっと気まずいな…と思いつつも教室に荷物を取りに行った。
教室に入ると玲さんと目は合ったけど、お互い無言だった。
早く帰ろ、と思った瞬間…
「なあ、俺のこと見たことない?」
「…え?」
「いや、一年のときお前と同じクラスなんだけど」
「え⁉…そうなの⁉」
「やっぱり気づいてなかったか。いつ気づくかと思ってたんだけどな(笑)」
「…じゃあ、同級生?」
「そういうことになるな」
「…嘘〜!!私ずっと先輩だと思ってて話しかけづらいなって思ってて」
「アハハ、そう思っていたならもっと早く言えばよかったな」
…う〜んでも私玲さんのこと教室で見なかったような…
「俺のこと見たことないだろ」
…凄い、玲さんってエスパー?(笑)
「うん。ないかも…。でも私一年の頃はほとんど学校行ってなくて。見てないのも無理ないかも…」
「…うん、知ってる。先生から聞いてた」
「…え?」
「実は俺も……」
バタン!
玲さんが何かを言いかけたとき、教室のドアが開いた。
「玲、絵梨、もう帰りなさい」
「あっごめん秋先。今帰るよ」
秋元先生のことを、私も秋先と呼ぶようになっていた。
「俺まだ荷物準備してねーから先帰ってていいぞ」
「うん、分かった。じゃあ玲さんまた明日ね!」
そう言って教室を出ようとしたとき、
「なあ、玲さんってやめね?」
「え?」
「俺ら同級生なんだしさ。玲でいいよ」
「…ありがとう。じゃあ、玲で…」
言ってからなんか恥ずかしくなって俯いた。
すると玲は私の頭をくしゃくしゃっと撫でて教室を出て行ってしまった。