魅惑の果実
帝に駆け寄り、おでことおでこをくっつけた。


薬は効いてる筈なのに、まだ少し熱い。



「ご飯食べられる?」

「ん……」



帝の視線が政臣に向いていて、ハッとなった。


これって初対面じゃん!!



「あ、えっと、あの、帝、これはその……」

「おと、さん……?」



帝は私の手をギュッと握ったまま、政臣から目をそらさない。


小さな手にどんどん力がこもっていく。


私はその小さな手をギュッと握り返した。



「あぁ、お前のオヤジだ。 おいで、帝」



私の顔色を伺う帝に微笑んだ。


そして背中をポンと押した。



「お父さんのところに行っておいで」



弾かれた様に駆け出した帝は、その勢いのまま政臣に飛び付いた。


政臣は帝を抱き上げると、膝の上に乗せた。



「今まで一緒にいられなくてすまなかった」

「もうずっといられる? おかぁさんと三人でいられる!?」

「あぁ、これからはずっと一緒だ」



せっかくの幸せな場面なのに、視界がぼやけて上手く見えない。


昔以上に涙脆くなったかもしれない。





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