君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「あの人、本当に不思議よね。長年一緒に仕事してきたけど今もまだどんな人なのか正直分からないし」

「...それ分かるわ」

橘さんでさえ分からないなら、私なんてもっと分からなくて当たり前だと思うけど...。
この間のことを思い出すと、どうしてもいまだに腹立つのよね!


「...ちょっと櫻田さん。顔怖いわよ」

「えっ!?」

「だから顔!...何?またなにか副社長がやらかしたの?」


やらかしたと言うか、騙されたというか...。


「私...。この先もずっと副社長に翻弄されながら生きていくような気がするわ」


同時に漏れる大きな溜め息。


「なによ、そんな大事?何?なにがあったのよ」

「...実は」

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「...それ、本当に副社長?」

「当たり前じゃない。副社長以外いないでしょ?そんなことするのは」

ショッピングモール内にある飲食店でランチを食べながら、最近の副社長の言動を橘さんに話していた。


「橘さんの時もあんなに酷かったの?」

あのセクハラ紛いな言動が。


「...いいえ。確かに副社長はなに考えているか分からないところは沢山あったけど、そんなこと一切されたことなんてないわよ」

「えっ...」

すると橘さんは手にしていたフォークを紙ナプキンの上に置き、真剣な面持ちで私を見つめてくる。


「...副社長ってあなたのこと、好きなんじゃないの?」

「......は?」

思いもよらない話に、随分と間抜けな声が出てしまった。

えっ。橘さんってば一体何言っちゃってるの?副社長が?私を好き?


「アハハハハ!まっさかぁ。そんなこと100%あり得るわけないじゃない」

あり得なさすぎる話に笑ってしまった。
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