君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「…昨日、言っていただろ?」

「え…?」

繋がれていた手。いつの間にか指と指を絡まされくる。

「俺とお父さんがどんな話をしていたのか気になるって」

「あ、はい!」

そりゃ気になるわよ。お父さんと話した内容なんて。

「…全部は言えないけど一つだけ教えてあげる。…言ったんだお父さんに。菜々子さんを僕に下さいって」

「…えぇ!?」

空港だというのに思わず大きな声が出てしまった。

だって圭吾さんがそんなことをお父さんに言っていたなんて…!

「当たり前だろ?菜々子と結婚させてもらうんだから。…それにこれは俺にとってもけじめみたいなものだったから」

「けじめ…ですか?」

「あぁ」

その時、圭吾さんの乗る便の搭乗アナウンスが聞こえてきた。

「…時間だ」

困ったように笑う圭吾さん。

何度体験してもこの瞬間だけは慣れそうにもない。
先に立ち上がった圭吾さんに続いて私も立ち上がり、搭乗口まで手を繋いで向かう。長い距離あるのにいつも短く感じてしまう。

「…それじゃあ、また」

「…はい、気を付けて」

繋がれていた手が、ゆっくりと離れていく。
さっきまであんなに温かかったのに、離した瞬間一気に冷たくなってしまった。
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