君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
ただお互いなにも話さず珈琲を飲んでいるだけ。

だめだよね、このままじゃ。
そう分かっているのになんでこんなにも言葉が出てこないんだろう。

「…今日は悪かったな」

そんな時、先に話し出したのは圭吾さんだった。

「え…」

今日のことって…。
あ。給湯室でのこと?

ふと昼間のことを思い出してしまい、顔が熱くなる。

「…いいえ」

そう伝えるのがやっとだった。

「みっともないけど、ただの嫉妬。…菜々子があまりにも副社長と仲良さげだったからさ」

「そんなことないですよ!…あの時も仕事中抜け出して行こうとしていたのを引き止めていただけなんです」

そんな特別な感情なんて私にはこれっぽっちもない。

「…分かってるよ。そんなこと。…でもごめん。菜々子のことになると心配で仕方ないんだ。不安になる」

「圭吾さん…」

いつもの圭吾さんらしくない言葉。

「なぁ、俺が空港で言ったこと覚えているか?」

空港でって…あれしかないわよね?

「…仕事のことですか?」

「あぁ。…あの時は嘘だって言ったけど、本当は俺がそう思っているって言ったら、菜々子は仕事辞めてくれる?」

「……」

なに、言ってるの?




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