君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
そう言ってジッと私を見つめてくる圭吾さん。

「…ごめんなさい。無理です。…私は今の仕事を辞めたくなんてありません。…なんでそんなに不安になるんでしか?」

「そんなの当たり前な感情だろ?」

私から視線を逸らす圭吾さん。

だめだ、言いたくなかったけど我慢できない。

「私は大貫さんとは違いますよ?…圭吾さんは私と大貫さんを重ねて見ていませんか?」

「っ!そんなわけないだろっ!?」

初めて見る圭吾さんの怖い姿に言葉を失ってしまった。

「…悪い」

謝らないでよ。…謝るってことは図星なんでしょ?
まだ昔の傷が癒えてないんでしょ?…私は大貫さんみたいに急に圭吾さんの目の前から消えたりなんてしないのに…!

「…もういいです。このまま話し合っても今は無駄だと思います」

溢れそうになる涙をぐっと堪え、貴重品をバッグに詰める。

「…菜々子?」

「今日は友達の家に泊まらせてもらいます。…少し一人になりたいので」

このまま一緒にいたら冷静でなんていられないし、圭吾さんを傷つけてしまうかもしれない。

圭吾さんの返事も聞かず玄関へと向かうが、途中で腕を掴まれ引き止められる。

「待て。なにも出ていくことはないだろ?」

「そこまでする問題です!…圭吾さんはなにも分かっていない」

圭吾さんこそ私の気持ち、分かってくれている?


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