君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「ただいま」

三日ぶりに帰ってきたマンション。誰もいない室内は真っ暗で、電気をつけると綺麗に片付けられたまま。

「…さすが圭吾さん」

金曜日の私だったらきっと部屋の中は荒れている。
そこはさすがよね。

寝室へ向かい、着替えをキャリーバックに詰めていく。

圭吾さんも知っているよね?私が副社長と出張に行くってこと。

「…言っていった方がいいのかな?」

でも言ってどうするの?なんかわざとらしくない?

…そう思うと言わないで言った方がいいんじゃないかって思ってしまう。

もう本当、ここ最近なにを考えてもいい答えなんて見つからない。悩めば悩むほど深い溝にはまっていってしまっている。

「帰ろうかな」

今の私にはこの部屋にいるのが辛い。嫌でも圭吾さんのことばかり考えてしまうから…。

キャリーバッグを持ち、マンションを後にする。

外に出てもつい見上げてしまうマンション。

早く戻ってきたいのにな。

気持ちだけでは戻れない。

本当なんでだろう。ただ好きなだけなのにな。若い頃とは違って好きって気持ちだけでは解決できないなんて。

そのままゆっくりとマンションを後にした。
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