君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
大好きな彼を落とす方法
「お父さん、緊張していない?」

「大丈夫だ」

約一年後の今日。大安吉日。

私は真っ白なウエディングドレスを身に纏い、お父さんと腕を組んで協会のドアの前で待つ。

「本当に大丈夫?」

「だから大丈夫だと言っているだろ?」

口ではそんな強がりな言葉を言っているけど、誰がどう見ても分かるくらい緊張しているお父さん。
そんなお父さんを見ていたら、自然と私の緊張がほぐれていく。

そしてゆっくりと開かれるドア。
その瞬間眩しい光と共に聞こえてくる優しい音楽と、沢山の人の拍手。

「行くぞ」

「うん」

お父さんにエスコートされて、ゆっくりとバージンロードを進んでいく。

聞こえてくるみんなの声。
見えてきた大好きな人の姿。

私、本当に圭吾さんと結婚するんだって実感する。

神様の前で待つ圭吾さんは白のタキシード姿が本当によく似合う。

「…圭吾君、菜々子をよろしくな」

「…はい」

そんな二人の言葉に涙が出そうになる。

お父さんから離れて、大好きな圭吾さんが差し出してくれた手をそっと取る。

昔、一度手離してしまったこの手。
もうなにがあっても一生離さないから…。

ーーーーーー

ーーー

「では、誓いのキスを」

神様の前で圭吾さんと永遠の愛を誓って。
そして圭吾さんは、私のベールをそっとあげてくれた。
< 281 / 368 >

この作品をシェア

pagetop