君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「だって私、一目惚れだったし。……そんな和也君と、菜々子の結婚式で再会できたなんて、もう運命としか考えられねぇからさ!」

そう言うと、いつものようにニカっと笑う五條さん。

「いいよ、今はまだただの飲み友達でも。……私はただ、和也君にこうやって会えるだけで、充分だから。……楽しいって思ってくれていて、嬉しいし。……また時間があったら付き合ってくれよな?」

そんな彼女の言葉に、何とも言えない感情がこみ上げてくる。

なにか言いたい。なのに、全く言葉が出てこない。

「……っ!五條さんっ!!」

そんな俺の心情を察したのか、彼女は勢いよくドアを開けると、一目散に去っていってしまった。
言葉は出たのに、追い掛ける勇気は出ない。

いや、そんな資格俺にはない。
だってそうだろ?
俺の心の中にいるのは、五條さんじゃない。櫻田さんなんだから……。

「……なのに、なんでだよっ」

なんでこんなにも、心の中はスッキリしないままなんだ?
よかったじゃないか。ちゃんと五條さんに伝えることができたんだから。
なのに、なんでこんなにも――……。

自分の気持ちが分からず、その怒りをぶつけるように拳を強く握りしめる。

それなりに恋愛はしてきた。
なのに、なんで今……俺の気持ちは行き場をなくしたかのように、彷徨っているんだろう。
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