君が好き。2～大好きな彼と結婚する方法～

意外な言葉に私の足は止まってしまい、振り返ってしまった。


「昨日さー。櫻田さんの代わりの子がついてくれたんだけど、全然つまらなくてさ。橘さんも良かったけど、俺的にはからかいがいのある櫻田さんが一番だな」


なっ...！なにを言い出すかと思えば。


「それは...誉め言葉として受け取ってもいいんですよね？」


ちょっとドキッとしちゃったじゃない。


「当たり前じゃない。...もういじめないから、仕事に集中していいよ」


やっ、やっぱり！忙しいこと分かっていてからかっていたのね！


「失礼します」


内心イライラしながらも一礼し、さっさと副社長室を後にする。


バカらしい！
なにドキッなんてしてるのよ、私！副社長のいつもの冗談をほんの少しでも真に受けちゃった自分が情けない。


頭を振って気持ちを切り替え、仕事に取り掛かった。


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「櫻田さん、一緒にご飯でも行かない？」


「えっ...。私と副社長が一緒にです、か？」


あれからどうにか仕事の目処がたち、さっさとご飯を食べてきちゃおうとお財布片手に立ち上がった時、まさかの副社長からのお誘い。


「他に誰がいるのさ。たまには社食でも行きたいなと思ってね。仕事の話もしたいからついでに」


「...仕事ならご一緒させて頂きます」


「えぇー。なんか冷たい言い方。...まっ！一緒してくれるならいっか。行こう」


「...はい」


『行こう』って簡単にこのお方は口にしたけど...。自分が社食なんかに行ったらどうなるのか、分かっているのかしら。


...いや、きっと分かっていないわよねきっと。ただ単に食べたくなったから行きたいだけよね。何も起こらなければいいんだけど。


「櫻田さーん！早く行くよ」


「あっ、はい！」


いつの間にか先に歩き出していた副社長の後を慌てて追い掛けた。


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「んー！やっぱ社食の素朴なしょうが焼き定食は旨いね、櫻田さん！」


「そう、ですね...」


まるで子供のようにしょうが焼きを口一杯に頬張る副社長。
500円のしょうが焼き定食1つでこんなに幸せになれる副社長がある意味羨ましいわ。
...なんて真っ正面に座って思っていたりする。