こんな能力(ちから)なんていらなかった


 そこからチェーンが垂れていた。
 銀のチェーンの先にはシルバーのリングがぶらさがっている。


……ん?

制服のままベッド?


 疑問に思ったまま紫音の着ている服をじっくり観察する。


 見れば制服はよれて至る所に皺がついてよれていた。


 顔面から血の気が引いたのが自分でも分かった。


「……たっかい制服が」


 華桜院の制服がものすっごい高級品だということを、華桜院近隣の高校の生徒で知らない人はいない。
 生地から装飾品にかけて全て一流の職人が手がけた一級品。


 優羽は顔色を悪くして震える。

 クリーニング代は一体いくらになってしまうのだろう。


「——クリーニング?そんなのどうでもいいから」


 紫音は優羽の上からどきながらそんなことを言う。


「で、でも!」

「その前にまず言うことあるんじゃない?」


 紫音は優羽の横に座ってふあ……と欠伸をする。


 わけが分からず紫音のことをぼけっとしたまま見つめる。

 紫音はヒントと言って自分で止めた時計を掴んだ。


「現在はいつ?」

「いつって……朝?」

「そうだな。じゃあ朝一で会った人とすることは?」


 優羽はあっと声を上げる。


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