『友人狩り』
―――
―――――
さっきまで笑い声が響いていた廊下は今では静まり返っていた。
その廊下の真ん中で郁哉は、さっきすれ違った女子の走っていったほうを見つめていた。
別に何か感情を持っていたわけではない。
ただ、何も考えずに見つめていた。
数秒間見つめた後、郁哉はふっと体を反対方向へ向けると、目の前に雫が立っていた。
雫は驚いた顔をしたまま郁哉を見つめていた。
「し…」
郁哉が声をかけようとしたとき、雫は郁哉から目を逸らした。
「雫。あれっ?堂島?」
雫の後ろから数人の女子が教室から出てくるなり、郁哉に気づいた。
中3になってから雫にできた友達だった。
「部活は??今日、休み??」
数人の女子の中からキリッと目をした坂下菜月が郁哉に聞いてきた。
「…今から行くとこ。お前らは??何してたんだ??」
郁哉の言葉を聞くと菜月は雫の肩に手を置き、
「おしゃべり。だって、あたしたち部活に入ってないもん!!ねっ、雫!!」
と雫に言った。
「…うん。」
雫は菜月と目を合わさず返事をするとチラッと郁哉を見た後、俯いた。
<さっき、すれ違った奴…。>
郁哉は雫の俯いた顔を見ながら、さっきすれ違った女子を思い返していた。
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さっきまで笑い声が響いていた廊下は今では静まり返っていた。
その廊下の真ん中で郁哉は、さっきすれ違った女子の走っていったほうを見つめていた。
別に何か感情を持っていたわけではない。
ただ、何も考えずに見つめていた。
数秒間見つめた後、郁哉はふっと体を反対方向へ向けると、目の前に雫が立っていた。
雫は驚いた顔をしたまま郁哉を見つめていた。
「し…」
郁哉が声をかけようとしたとき、雫は郁哉から目を逸らした。
「雫。あれっ?堂島?」
雫の後ろから数人の女子が教室から出てくるなり、郁哉に気づいた。
中3になってから雫にできた友達だった。
「部活は??今日、休み??」
数人の女子の中からキリッと目をした坂下菜月が郁哉に聞いてきた。
「…今から行くとこ。お前らは??何してたんだ??」
郁哉の言葉を聞くと菜月は雫の肩に手を置き、
「おしゃべり。だって、あたしたち部活に入ってないもん!!ねっ、雫!!」
と雫に言った。
「…うん。」
雫は菜月と目を合わさず返事をするとチラッと郁哉を見た後、俯いた。
<さっき、すれ違った奴…。>
郁哉は雫の俯いた顔を見ながら、さっきすれ違った女子を思い返していた。