もしも私が―。

「それは、どうゆうことだ?」

「実はですね、そこのお嬢さんは二十分も寝てたみたいなんですよ。終点について係員が起こしてもなかなか起きなくって、困ってたらしいです。しかも、発車すると同時に寝てしまったのも、別の係員が見ていました」

「とゆうことは、あれか、このお嬢さんは発車して終点までの十分と、終点についてもまだ寝ていて、それで係りのやつが十分もねばっていた、と。んで二十分か」

「はい」

「でもそれだと、寝たふりってこともあるんじゃないですか?」

「私も、はじめそうだと思ったんだけど、係員の話じゃ、とても寝たふりには見えなかったみたいよ。防犯カメラは入口と、出口と、乗り物から降りる所と、乗る所と、入口、出口通路にあって、眠ったところを見たけど、私も寝たふりには見えなかったし」

 ひとしきり、三人の会話が終わったのか、松谷さんが私の顔を見た。

「お嬢さん、よく寝るねぇ」

 少し呆れたようにそう言うと、陽気に笑いながら、私に謝った。

「イヤァ、悪いね疑ったりして。今、未成年者の犯罪が増えてるもんだから、ついね。今、このお兄さんが家まで送ってあげるからな。矢城!ちゃんと届けるんだぞ」

 言われた矢城さんは、ドアを開けると、私を部屋から出るように促した。
 でもその時、化物のこと話しといた方が良いんじゃないの?って、心の中でそう思った。
 だって、私一人じゃ、夢で見たって捕まえるなんてできないもの。

 協力者が欲しい!
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