同期が急に変わったら…。
『いずみ。』

『なに?』



将生が優しく話し出す。




『俺とこうしてんの、嫌か?』




優しく抱きしめながらの

そういう聞き方は、ズルい。




『……嫌じゃない。』





ドキドキが将生に伝わらないかと

それが心配でドキドキして。




どっちの感情でドキドキしてるのか

訳がわからなくなってきた。




『そうか。』

『……。』

『俺は
いつもこうしていたいけどな。』





抱きしめられているせいで、

将生の低い声は

耳元近くから聞こえてくる。






将生の声がすっ〜と心に入ってきて、

自分からも抱きつきたくなった。





でも、出来ない。





思いのままに抱きついてしまえば

どうなっちゃうんだろう。





将生の腕の中で、モヤモヤしていた。








『……。』

『いずみ。
もう寝るか?』




そうだ。

寝てしまおう。

眠ってしまおう。




『うん。寝よっか。』

『おやすみ。』

『うん、おやすみなさい。』





暖かい温もりの中で、

将生の匂いを感じながら。





『いずみ。』

『ん〜?』

『朝までこのままでいるぞ。』

『……。
寝たら離れるんじゃない?』

『離さないと思うけど?』

『どうだか。』

『ふっ。離さねぇよ。』

『……。
じゃあ、ずっとそうしてて。
腕、痺れても知らないから。』

『大丈夫だろ。』

『……。おやすみ。』




もう。

そんな事、スラスラ言わないでよ。




切なくなってくる。




どうして?



答えは。




素直になれない自分に切なくなる。


……どうしよう。
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