幼い頃の小さな約束
学校の門が見えてきた。すると、あたしの肩がポンと叩かれた。
振り返らなくても分かる、この匂い、この叩き方。
・・・あたしの幼なじみの、亮太だ。
「ひでーなー。家、隣なんだから一緒に行けば良いじゃん」
むう~っと膨れた顔で睨むコイツ。木野亮太(きのりょうた)
登校中の女子が、「亮太君、可愛い~」とか言ってる。
・・・ふざけんな、どこがだ。
でもまあ、確かに・・・綺麗な顔をしている。
二重の瞳は少し切れ長で。薄い唇は、いつも微笑みを忘れない。
明るめの茶色の髪はふわふわしていて、男とは思えん。
身長は悔しいことに、あたしより高い。
・・・前はあたしのほうが高かったのに。