代償
「何で拒む」
………何でって………。
私は………。
まだ、心の整理がついてない。
めちゃめちゃで………。
「そんなにその総長に尽くしたか」
尽くすとか………そんなのじゃ………!!
「あの総長のことだ。毎晩、ヤられたんだろ」
そんなこと、上時はしない!
厳しい規律で縛られた前橋組が、するわけない!
「し、なぃ!」
「そうか?………ホストの奴が、お前を襲わないわけねぇだろ」

………そんな………!
「前橋組に規律があるだーだか、言ってるが、無視してんだろ。そんなの」
………無視なんて………。

キャーラだって………守ってた。
破るなんて、そんなのない!
「………や、ぶる………わけ………」
「ない、か。まぁ、どうでもいい」
………何で。

手を引かれる。
あ、流される。
けど。
抗ったら。
どうなる?

「行こっか、文香」
………私、行きたくない。
少し、抗う。

通じるわけない。
「………勇………人さん………」
行きたくない、行きたくないから。
お願い。

手を離して。
「文香」
離して………。
「………追い出されたんだろ?追い出した男のこと、いつまで引き摺る」

………いつまでって。
そんな時間経ってない。

今、思えば。
………私。


無防備過ぎてた。
上時と同棲してて。
それで。
上時は何もしなかった。
不思議。
20歳も歳が離れて。
ホストと同棲して。

………よく、あんなに無防備で。
………おかしいよ。

ねぇ、上時。
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