代償
総長、思う。

溜め息をするな。

~上時side~


月日は流れてもう4月。
文香は3年になった。
俺はいつも通り。
ホストもするし、総長もするし。

「んねっ…………しねっ………」
聞き取れないが、大体分かる文香の言葉。
『あのね、私ね』
な。
「………トね、…………ちいだっ………よ」
『テストね、1位だったよ』
頭いいなこいつ。
勉強を見れば、ハイスピードで進めてもついてくるし。
「そうか。よかったな」
頭を撫でる。

5ヶ月、経ったか?
ここに来て。
随分慣れた。
俺を殺す計画はどうなった。
おい。

「じゃ、仕事行ってくる」
「って………っしゃいっ」
『行ってらっしゃい』
な。
前に比べれば。
進歩したな。
もう一度頭を撫でる。
小さい頭で小さい顔だな。
可愛いな。
本当。


「上城じゃないか」
マンションを出たところでマスターに会う。
「マスター、どうしたんです」
「買い出しだよ。ちょっとな」
「そう、ですか」
「仕事かい?まだホストしてるのか」
「手っ取り早く稼げるからな」

手っ取り早く稼げる。
貯金も凄いことになってるしな。
一財産あるし。
「文香ちゃんは?」
「上」
「監禁するなよ~。可愛いからって」
………!?
「しません。そんなことは」
「可愛くて、仕方ないくせになぁ!」

………ええ?
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