代償

再会する。

「………はぁ」
マスターのところで、苺のパフェを食べる。
「ため息なんかしちゃって。何かあったの?」
マスターがカウンター越しに言う。
………何って。
上時絡みだよ。
………だって。
何にも教えてくれない。

「やっほー!文ちゃん!」
………あのね、キャーラ。
他のお客さんいるのに、そんな大声で店に入って来ないで。
恥ずかしいから。
「キャーラ!ドアが壊れるだろ。ガキじゃあるまいし」
「僕、ケーサツだし~モデルだし!」
………あ!
………友達が持っていた雑誌の表紙。
誰かに似てると思ったら。

キャーラだ!!!
「僕が表紙の雑誌、知ってる?」
はい、知っていますとも。
………興味ないけど。
「もうね、上半身裸とか、恥ずかしいったらねー」
苺パフェ3つー!
………どんな胃袋してるの?
………3つて。
………ありえない。
キャーラだからありえる。
奇人だからね。
自他公認で。
これが警官だよ?
ありえる?
ありえないよ。
ありえるんだね、これが。

前橋組は。
総長は借金取りのホスト。
2番は警官でモデル。
………ユートさんは?
………ま、いっか。
相反する人、ばっかりだよ。
………よく破綻しないね、前橋組。
借金取りと警官が同じ組にいるなんて。
天変地異だよ、これ。
異色のコラボ。
………だからこそ、気が会う?

うーん。
またお客さんだ。
いつも繁盛してるね。


「あれ?文香?」
………へ?
聞いたことある声。
「やっぱ、文香だ」
………え?

振り向く。

「ぁ………」
「覚えてるー?オレのこと」


嘘だ。
< 93 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop