ゆず図書館。*短編集*
 

「ん……っ」


私がそこに口を近付けて噛み付くと、甘い声が佑から漏れた。

この声も、吐息も、そして切なそうな表情も堪らなくて、ぞくぞくしてしまう。

好き、という気持ちを込めて、口づける。


「は……、まだか?」

「ん、もう少し、欲しい……」

「ん……っ、」


身体の奥がどんどん熱くなっていく。

脳内に響く佑の甘い声、熱い吐息、……私の中に流れ込むもの。

もっと欲しいと舌を這わせ、貪るように吸い付き甘噛みすると、佑もそれに合わせて反応する。


「は……っ」

「……ん、おいし……」

「……っ、里桜(りお)」

「!」


佑の首にしがみつくようにしていた私の身体を、佑は引き剥がし、私の顔を覗き込んだ。

その表情は私の奥底を疼かせるには十分なくらいの色気があった。


「は、もういいだろ?これ以上は無理だ。それに……俺も、里桜が欲しくなった。」

「ひゃ……っ」

 
< 8 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop