桜雨〜散りゆく想い〜
 ようやく僕に気付いた香は振り返り言った。


 「桜が散っちゃう……」


 長い睫毛から雫が落ちる、もしかしたら泣いているのかもしれない。


 「風邪……引くよ。中に戻ろう?」


 それでも動こうとしない香の手を掴み、半ば強引に校舎の中に連れて入った。


 香はドアを開けてまま、桜並木の方を見ていた。


 「桜、そんなに好きなんだ……?」


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