桜雨〜散りゆく想い〜
 何も答えない香の肩が小刻みに震えている。


 僕も香との想い出で桜が好きになった。それは今も変わらない。


 だが、香の様子は異常に見えた。確かに桜が散ってしまうのは寂しいが、それで最後とゆうわけではない。来年も、そのまた来年も、咲き誇り散って行くのだ。


 どれだけ好きでも、涙を流してまで悲しむのは僕には理解出来なかった。


 この時の僕には――


 僕はしばらくかける言葉を見つけられずに、その場に立ち尽くしていた。


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