雪の結晶



『六花、何が起こったかわかるかい?君とオカアサンは車にひかれてしまったんだ…』


優しいそれでいてどこか悲しげな声は
あたしに語り続ける


『六花、すまない
助けようとしたんだ…
本当はこうなる前に何とかしたかった
けれども私には君を守る術がなく…』


『ねぇ!!お母さんは!?
無事なの!?』


あたしは声を遮って叫ぶように聞いた


『…六花、オカアサンは限界だったんだ
心が暗く歪んでしまった君をぶったりひどいことを言ってしまう自分に絶望していた…
…六花、オカアサンをオトウサンのとこに連れていってあげないかい?』


『え…それって…』


『オカアサンはもう助からない…でも心だけは私がオトウサンのところに連れていってあげられる』


『いやだよっ、お母さんを連れて行かないで…
あたしを1人にしないで…』


あたしは小さな子供のように泣いていた


今までためていた10年分の涙がボロボロと零れる


『あ…あたし…いい子にするからっ…お願い
お母さ…返して…』


『六花、オカアサンは助からない…


私じゃだめかい?


ずっと君のそばにいたよ辛いときも楽しいときもずっと君のそばにいた
これからも私は君のそばにいるよ?
今まではオトウサンの分だった




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