掌編小説集

519.そんなことぐらいで関係が変わるなんてことはない

出版社で翻訳家をしているのだけれど

カフェで相席した彼とは

それからよく会うようになって

彼の愚痴とか

私の悩みとか

話すようになって

付き合うようになって

でも

ある日

神妙な面持ちで

彼が切り出したのは

異性装があるってこと

別れ話だなんて思った私は

心底ホッとして

自分の早とちりに

心底呆れた
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