【短編】もう少しだけ
「皆、うるさいねー」
「あぁ、だね」
そう笑ったから、私も笑ったんだ。
先輩の事、少しは気にしてくれるかなー? って思ったけど、
その後もその話は出てこなくて。
ヤキモチとか妬いてくれないんだ。って少し寂しかった。
まぁ、過去の人だしね。
それくらいで、ヤキモチなんて妬かないか。
もし、逆だったら。
私だったら妬いてるんだろうなぁ。
今まで、真祐は私の事が好きだって思い込んでいたけど、
もしかしたら、真祐の好きは小さくなってるのかなぁ?
前みたいに、初めの頃みたいに私の事を好きで居てくれてるのかなぁ?
今は、私の方が真祐を好き……そうじゃないよね?
放課後、いつもと同じ帰り道。
なのに、気のせい?
真祐の足がいつもより速い気がする。
「真祐~」
「……」
「真祐ー!?」
「えっ? 茅乃?」
驚いた顔で振り返った。