煙草とキス
───7月も、もう下旬。
東京は、とっくに夏の香りが漂っていて
湿気のある暑さよりも、カラカラと乾いた暑さの日が多い。
今夜も涼しくはならなくて
都心よりは風の通りもよく、体感温度も若干低めのこの家に
何故かbitterメンバー全員が揃って押し掛けてきた。
「あっ、25も26も晴れ!」
「げっ!でも33度!?」
窓から入り込む風は、確かに涼しい。
都心の夜の風より、ずっと。
「なにも、外じゃねーんだから。
それに夜なんだから、涼しくなるよ」
徹平、梓、龍也の3人は
天気予報を見て、何やら騒いでいる。
あたしは、突然来た3人のおかげで、袋いっぱいのアルコールを
全部冷蔵庫に入れようと苦戦中。
冷凍庫にでも入れてやろうかとも、思ったりして。
まあ、快斗はというと
3人と騒ぐのは面倒だって表情で、ベッドの上で煙草を吸っている。
それでもまだ3人は、
天気予報を見ながらあーだこーだ、騒いでいた。