煙草とキス







ひかりさんの夢が叶った。









あたしの夢が遠くなって


ひかりさんの夢が、ひかりさんの手の中で輝いている。












“ずるい”







そう思ったあたしは










間違ってもいない気がした─────


















「あー…もう、どうしよう!」






初めての大阪は、天気予報どおり、カラッと乾いた晴天となった。






目の前には、真っ白なチャペル。


続々と集まってくる人々。






あたしの目は、泳ぐばかりだ。








「澪、うるさい」



「でも…なんか緊張しない?」



「しない」






大きくて広々とした結婚式場。





敷地内には、チャペルの他にも披露宴やパーティーができる施設や


小さなオープンテラス風のバー、花畑のような広い庭に、涼しげなプールもある。







そんな大きな結婚式場を、あたしと快斗は見学気分で見て回った。







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