煙草とキス
ひかりさんは、今どこに居るのだろう。
幸せそうな笑顔を振り撒いて、純白のドレスでも着ているのかな?
それを想像するだけで
なんだか幸せな気分になる。
「早く見たいなー」
いかにも高そうな大理石の床に
受付へ集まる人々の声、ヒールや革靴の上品な音が響く。
どんどん増えていく人々は
みんな綺麗に着飾っていて、特に女性は美人な人が多い。
「旦那ってさ、金持ちなの?」
「えっ?なんで?」
「こういうとこ貸し切って、かなりの人数呼んでるじゃん?」
確かに。
こんなに広い式場と
あんなに大勢の招待客。
以前、旦那さんとなる人は
外資系の大手企業に勤めていると聞いたことがある。
「玉の輿ってやつ?」
「だな。おまえ、仲良くしとけよ?」
「快斗は旦那さんと仲良くしてよ!」
金持ちとは仲良くしとけ。
快斗はそう自分で言って
笑っていた。