優しい君に恋をして【完】
ピアノの前に座っている私
ピアノの右側の壁際に座って、こっちを向いている優
静かな防音室
二人きりにしてあげるって、先生いきなり......
急にドキドキしてしまって、
下を向いて、
深緑色のタータンチェックのスカートの上に置いた手を、
ぎゅっと握った。
密室で二人きりになったのは、さっきのエレベーターぐらいで、
初めてで......
ちらっと横目で優を見ると、
優は自分の髪をくしゃくしゃっとして、
ゆっくりと立ち上がった。
え。
なぜ???立ち上がる???
ちらっとでは収まらず、じっと優の行動を見つめてしまった。
すると優は背負ったままだったリュックを下ろして、
座っていた椅子に置いた。
そして、グランドピアノの調度へこんだあたりに立って、
ピアノの上に両腕をのせて、そこから私を見つめた。
「あすかの 一番好きな曲を 弾いてほしい」
えっ......
優はそう言って、ピアノに乗せた腕をもう一度置き直した。
「こうすれば 響いてくるから」