優しい君に恋をして【完】
優は、先生の【自慢の弟】という手話を見て、
ふっと笑って照れくさそうに下を向いた。
「じゃあ、デートの時とかどうしているの?」
優が下を向いている隙に、先生が耳元で言ってきた。
「デートなんて一回もしたことないよ。
優がお母さんのこと気にして、すぐに家に帰らせるんだ」
「そう......優くんらしいといえば、優くんらしいけど」
その時、優が顔を上げて、先生と一緒に優を見つめていたから、
優はその視線に首を傾げた。
「優くんは、もう少しわがままになってもいいと思うよ」
優はさらに首を傾げて、納得できなそうに軽く頷いた。
「そうだ!」
先生は立ち上がって、
「終わりの時間まで、あと......20分後には戻ってくるから。
それまで二人きりにしてあげるね」
そう言うと、私の肩をポンポンと叩いて、
後ろにある防音室の扉をゆっくりと開けた。
「えっ???先生???」
「今日だけ特別。ふふふっ」
先生は可愛く笑いながら重たい扉をゆっくりと閉めた。