優しい君に恋をして【完】
隠しても、隠しても、
その手を掴まれてしまう。
逃げようとしても、押さえられて、
知らない感覚が、押し寄せてくる。
目が合うたびに、塞がれて、
もう、溺れてしまいそうになった瞬間、
痛みが走った。
終わった後、ベッドの上で裸のまま、
優に抱きしめられた。
カーテンを閉めてもらっても、
薄暗くなっただけで、優の胸や肩の筋肉がよく見えて、
その男らしさに、
さっきまでのことを思い出して、きゅんとしてしまった。
優は、抱きしめたまま、何も言わなかった。
ずっと抱きしめられていて、
もしかして寝ちゃったのかな.......と思って、
胸から顔を上げると、優が私の顔の真ん前まで下がってきた。
目の前でまっすぐ見つめられて、
いつの間にかほどけていた私の髪を、優がそっと撫でた。
少し優の髪がくしゃくしゃっとなっていて、
それがなんだかかわいくて、
くすっと笑ってしまったら、
優が目をそらして......
またこっちを見たと思ったら、
ちゅっとキスをされて......
何度もそれを繰り返してまた、
ぎゅっと抱きしめられた。
どうか 無事に手術が終わりますように
どうか 優の願いが叶いますように
どうか
この幸せが ずっと続きますように……
優の体温を感じながら、
そんなことを、ずっと思っていた。