優しい君に恋をして【完】
優の胸の中、
目の前にある、緩めたネクタイを触った。
ずっとそばにいられるんだ。
こうやって、すぐに触れることができるんだ。
ふと顔を上げると、
私を見下ろしている優が見えて、
ずっとにこにこ目を細めて笑っているから、
遠くに行っちゃうって不安になっていた私は、
なんだったんだろうって、
ちょっと悔しくなって、
「めちゃめちゃ不安だった!」
そう口を尖らせ、
優のブレザーの中に手を入れて、
カーディガンの上から、脇腹を思いっきりくすぐった。
「ちょっ、なんだよ、やめろって!
やめろっ、あすか!」
目をくしゃっとして、八重歯全開で、
お腹を抱えて思いっきり笑っている優を見て、
私も思わずクスッと笑ってしまった。
その隙にガシッと両手を掴まれてしまい、
ぐっと下から顔を覗き込まれた。
「不安にさせて、ごめんな.......」
ちょっと横目で私の顔を覗き込んでいる優に、
「すっごい、不安だった。
でも、合格もしてほしかったし、
でもそしたら、遠くに行っちゃうと思ってたから、
もう、不安で、不安で、ふあん........」
何度も不安と言ったら、
その口を塞がれた。
私は下を向いて、唇を離し、
上目で優をチラッと見た。
「ちょっと......まだ話終わってないし!」
「ん?」
優はすぐ目の前で、ちょっと怒ったように首を傾げた。
「だから、不安で、その.....なんていうか、
自分の心が狭いんじゃないかとか、色々......」
優は、ぐっと顔を近づけて、
唇ぎりぎりのところで、止まった。
「もう終わった?」
「え?」
「話」
「え、あの、えっと、だから......」
優がじろっと睨んできた。
「まだ?」
「だから、えっと、その.......」
じりじりと詰め寄られて、
オロオロとしていたら、
優が目を伏せた。
「ちょっと、黙ってろ」
そう言って、私の手首を掴んだまま、
また唇を塞いだ。
そして、キスをしたまま手首から手を離すと、
私の両肩を掴んで、
そのまま首筋をなぞり、
頭の後ろを押さえてきたから、
もう、逃げられなくなった。
優はいつも優しいけど、
時々、ドキっとすることを言う。
普段は私を優先してくれるのに、
時々、強引になる。
そんな優に、こんなにも夢中になってしまって.......
もう、ダメだ........っと思った瞬間、
ふっと唇が離れて、
ぎゅっと抱きしめられた。