体育館12:25~私のみる景色~

 先輩、私がいないことに気がついてたんだね。


 なんだか気にしてくれてるみたいに感じて心がぽかぽかする。


「えへへ、最近りんちゃんに怒られてばっかりなんですよ」


 苦笑いで答えたけど、これってマイナスポイントだよね。


 ……今さらだし、別にいいか。


 そんな私に、佐伯先輩も同じように苦笑いを返した。


「昼は、いつも通り見においでよ。放課後みっちりしごいてあげるから、テストは安心して?」


「えっと、はい……」


 内心、そんなんで大丈夫かな?


 なんて思ったんだけど、学年首席の佐伯先輩が言うんだから大丈夫だよねっ。


 慶ちゃん先輩は、放課後は家のお仕事の手伝いをするらしい。


 私と佐伯先輩が2人きりで勉強するのが不満なのか、不機嫌顔だったけど。


 佐伯先輩はなぜか黒い笑みを浮かべて、終始楽しそうにしていた。


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