体育館12:25~私のみる景色~

 泣きそうになってる私を見て、中原先輩はオロオロし始めた。


 そんな中、口を開いたのは、まさかの佐伯先輩だった。


「そんな泣きそうな顔すんなって。今更なんだけど、宮下さん、だよな?」


 お決まりのポーカーフェイスで、私の顔を覗き込むようにして言う先輩の声は、どこか困ったような色も含まれていて。


 出かけていた涙も引っ込んでしまった。


 それに、涙で視界が歪んでいたからわからなかったけど、私の顔のすぐ近くに佐伯先輩の顔があって。


 ありえないくらいの至近距離に、今度は顔がだんだん熱くなってくる。


 それに、女子に冷たいって聞いてたから、私なんかとは喋ってくれないと思ってた。


 普通に話してくれて嬉しすぎる……。




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