体育館12:25~私のみる景色~
「あーっと。宮下であってんだよな? ま、いいや。おーい、宮下さん?」
トリップしていた私の目の前で、佐伯先輩がヒラヒラと手をふる。
「うわ、ごめんなさい! 私、宮下ですけど。あの、なんで名前知ってるんですか? それに、クラスも……」
さっき聞いた質問を、勇気を出してもう一度聞いてみた。
すると、やっぱり2人は、なんでそんな事聞くんだっていうような顔をして私を見る。
いやいや、普通は面識のない人のクラスとか名前知ってたら気になるよね?
「それはさ、お前がウワサになってっからさ。なんつーか、俺らも知ってた」
顔の赤みがひいた中原先輩が答えてくれた。
っていうか。
「うわさって、なんですか?」
私がそう言うと、佐伯先輩はそう言われるのを予測していたみたいで、あからさまなため息を吐き、中原先輩に至っては魂が抜けたような顔をしていた。