身代わり姫君の異世界恋綺譚
『真白が邪魔であろう?』

「な、なぜそれを!?」

紅は物の怪と話をしている事も忘れて応えていた。

『わらわは何でも分かる。良いか?紅、真白はわらわが異世界から呼んだのじゃ』

「清蘭様が真白を呼んだ……?」

その時、ガタッと大きな音がして障子が開いた。

入って来たのは清雅だった。

「紅! 今この近くに物の怪の気配を感じた! 大丈夫か?」

「清雅様!」

「大丈夫か? お前は感じなかったのか?」

「は、はい。何も」

紅はなぜか隠してしまった。

背中に汗が滴る。

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