身代わり姫君の異世界恋綺譚
「紅、お前も行くのか?」

清雅が真白の隣に座った紅に尋ねる。

「当たり前です。紫鬼様の行く所は私もついて行きます」

真白はその言葉を聞いてがっかりだ。

紅が苦手なのだ。

◇◆◇

紅が隣に座り、居心地が悪い。

真白はなるべく紅の方を見ないように御簾から見える景色を楽しんでいた。

真白が住んでいた世界のように高いビルは一つもない。

まちを出た辺りから澄んだ空気が中へ入り込み快適だ。

真白は斜め前に座っている紫鬼を見る。

紫鬼は乗り込んでからずっと目を閉じている。

――眠っているのかな……?

ふと隣を見ると紅も同じように目を閉じていた。

小さく溜息を吐くと、清雅と目が合う。

「あと、数刻我慢じゃ」

真白の気持ちを知ってか、清雅が苦笑いを浮かべて言った。

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