身代わり姫君の異世界恋綺譚

川の怨霊

「ま、真白っ! 水をかけるのはやめろー」

「清雅、いいかげんにこっち見てよ」

――別に水に濡れても透けていないのに。いいもん! 一人で泳ぐからっ。

真白は照れている清雅を放っておく事にして上流に向かって泳ぎ始めた。

――川の流れが緩いから泳ぎやすい。

スイスイと平泳ぎで進む。

小学校6年生までスイミングスクールに通っていたので泳ぎには自信がある。

だが、ここは自然の川で水着ではなく身体に纏わりつく着物を着ている。

水着を身につけている時のように、自由自在に泳げるわけがなかった。

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