身代わり姫君の異世界恋綺譚
――このまるで平安時代のような着物。撮影所のような部屋……。

「ねえ……ここはどこ?」

「娘! そんな口の聞き方は失礼であるぞ! 私は阿倍清雅(あべの せいが)由緒正しき陰陽師の家の跡取りだ」

清雅が背筋をピンと伸ばし、凛とした表情で真白に一喝する。

――姉上に似ていると思ったがまったく似ていない。

「お……ん……みょうじ……?」

――陰陽師ってあの平安時代……の?阿倍って言ったら……安倍清明を思い浮かぶんだけど、確か陰陽師だったよね……?

まだ小学生の低学年位なのに言葉遣い。

「今……何時代……?」

おそるおそる口を開いた真白は、聞くのが怖かった。

「何時代とは……? 天賀天皇が統一している都だ。天賀天皇を知らないとは不届き者め!」

「天賀天皇……? 天武天皇は知っているけど……」

話を聞けば聞くほどまったくわからない。

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