身代わり姫君の異世界恋綺譚
◇◆◇

清雅は紫鬼に抱き上げられた真白を見て涙を流しそうだった。

「真白っ!」

紫鬼に抱かれている真白は意識がないようで清雅が近づいても目を開けなかった。

「紫鬼っ! 真白は大丈夫なのかっ!?」

頬が赤く腫れあがっている真白を見てから紫鬼を見る。

「清雅、紅。部屋から出て行け」

紫鬼はそう言うと2人の鼻先でピシャリと障子が閉まった。

「紫鬼……真白……」

清雅は閉められてしまった障子を見つめ呟いた。

「清雅様、紫鬼様が治してくれます。もう休みましょう」

泣きそうな清雅に紅が言ったのだった。

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