身代わり姫君の異世界恋綺譚
真白の白い肌に唇をつけると、欲望が芽生えてくる。

「真白、私のものになれ」

突然の紫鬼の言葉に真白はポカンと口を開けて見た。

「し、紫鬼のもの?」

言われたことが分からないわけではない。

これでも17歳、もうすぐ18歳のうら若き乙女なのだ。

男女の関係がどういうことをするのかも知っている。

想像だけなのだが……。

紫鬼の唇が近づくのをポカンと見ていた。

啄ばむようなキスに物足りなさを感じてしまう。

「お前は無防備すぎる。弱い存在だから守ってあげたくなるし手助けしたくなる」

妖艶すぎる紫鬼の姿、今までにない雰囲気。

圧倒されて真白は言葉が見つからない。

「お前が見つからなかった時間、私は気が狂いそうだった……」

紫鬼の腕が真白に回り、真白はゆっくりと布団の上に押し倒された。

紫鬼の切なそうな紅い瞳を見て、真白の胸はキュンとなった。

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