身代わり姫君の異世界恋綺譚
「まだ早い。もう少し眠るといい」

真白の目蓋に軽く紫鬼の唇が触れる。

次の瞬間、真白は眠りに落ちていた。

眠った真白の隣から静かに紫鬼は抜け出す。

忠臣に制裁を受けさせるために都へ戻るのだ。

紫鬼はそのことを告げるために、清雅の部屋へ向かった。

「清雅、起きろ」

ぐっすり眠っている所へ呼ばれ、清雅は眠い目をこすった。

「紫鬼、こんな朝早くにどうしたのだ? まさか真白に?」

ハッと身を起こし紫鬼を見る。

「真白は眠っている。これから都へ戻る。戻るまで真白を頼んだぞ?」

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