身代わり姫君の異世界恋綺譚

うしろめたさ

お膳の上に花が置かれていた。

「花……」

だがそれは早く摘んだようで、しぼんでしまっていた。

「ああ、膳に華を添えようと思って庭から摘んだが、暑いせいでしぼむのも早かったようだ。水に差しておけば良かったな」

真白が花に目を止めたのが嬉しそうだ。

真白は忠臣に攫われる前に起こったことを思い出した。

――あの時だけで、今は出来ないかもしれない。

真白はしぼんでいる花に手を伸ばした。

「花ならまた摘めばいいぞ?」

清雅が笑って言うが、その笑みが驚きで張り付いた。

真白が手にした花はみるみるうちにみずみずしい花びらに復活していく。

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